令和2年度 白山支所

 

イノシシと森林整備(令和3年3月)

イノシシと森林整備(令和3年3月)
 
私の地元の里山では毎年、雪融けが進むとイノシシによる被害が多発します。
 
お腹をすかせたイノシシが餌を求め林道脇の土をほじくりかえし、土や岩が斜面を転がり林道へ落ちてきます。そうなると車の通行にも支障をきたします。
   
 もう一つはタケノコの食害です。3月はまだ土から頭を出していない時期なのですが、すでに掘り起こされ食べられております。
タケノコを出荷されている生産者もおり被害は切実な問題となっております。
   
 そんな大変な状況ですが、山林所有者の皆さんは山を大切にしている方が多く、林道が汚れればその都度対処し、タケノコ林ではイノシシ除けの電気柵の設置など手間をかけて整備しております。
かくいう私も狩猟免許を取得し、日々イノシシ駆除にはげんでおります。
 
「NOイノシシ!」そんなことを考えながら地元の荒廃竹林の伐採事業に取り組んでおります。年々、イノシシの捕獲数が減ってきており、荒廃竹林の整備に手応えを感じております。
 
   
 
 次のステップとして地元里山の間伐など森林整備事業を行いすっきりとした林層を目指し、イノシシが近寄りづらい環境を作りだしたいと思います。
 
「イノシシおらんようになったわ。」という言葉を聞きたいが為に森林整備を頑張るっていうのもアリですよね。
 
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間伐材を利用した積み木(令和3年1月)

間伐材を利用した積み木(令和3年1月)
 
寒中お見舞い申し上げます。
新年早々、3年前に並ぶような積雪に見舞われ、白山支所でも数日間除雪作業に追われました。春が待ち遠しいですね
 
さて、昨年末のことになりますが、当組合と農林中央金庫との連携により、白山支所管内(鶴来地区)のスギ間伐材を利用して、積み木が製作され、白山市に寄贈されました。伐採作業を行ったうち、目のきれいそうな材を選別したものです。
 
 
 
白山市から感謝状が贈られました。
   
積み木セットは市内の児童館、児童センター13ヵ所に配布され、早速近くの児童館にお邪魔してきました。
 
遊戯室に入った途端、スギのいい香りが漂っていて、手に取った積み木の感触は、フワッと軽く、きれいに面取りされ、箱も釘を使わない組木で丁寧に仕上げられていました。
おもちゃ一つですが、山で大事に育てられた木が、こんなに素敵な空間を作り上げるんですね。大人の方が癒された感じです。

 
子供さんの目線で、木製の遊具を通して、木、山を身近に感じて育ってくれるといいなあと思います。
   
 
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ブナ林とヒノキの巨木(令和2年11月)

ブナ林とヒノキの巨木(令和2年11月)
 
 今年の秋は、クマが人間の居住地域に出没しているのが多数目撃され、残念なことにクマと遭遇し、負傷する人まで出てしまいました
数年に一度、このようなクマ騒ぎが起きることはありましたが、今年のクマ出没件数は今までにないくらい多いと思います。ブナの実が不作というのは報道で聞いてはいたのですが、これほどまでにクマの出没件数に影響するとは思いませんでした。あるいは他にも原因があるのかもしれませんが、クマが冬眠するまで、まだしばらく注意することが必要なようです。
 
   
クマに表皮をはがされたスギ
 そんな中、先日、白山市白峰にある造林地へ「クマによる獣害防除」の施工のため、職員8名で数日間通いました。
 クマは生育したスギの皮を、鋭いキバで剥がし、その樹液を餌とするのですが、数十年かけて生育したスギが、クマの剥皮(はくひ)被害にあうと木材としての価値も下がるため、それを防ぐために木の根元をロープで縛り、クマが剥がしにくくするのです。
シンプルな方法ですが、意外に効果enlightenedがあります。
 
 
 1本1本ロープを巻きながら林内を登っていくと、標高1000m以上の尾根付近にきれいなブナ林が広がっていました。少しだけ紅葉しかかっていたその風景は、どこかの美術館の絵画のようで、私が見たことがあるブナ林でも特に美しいものでした
 これだけのブナ林があるのに餌が足りないとはクマも可哀そうに・・なんてことを考えながら歩いていると、今度は目の前に天然ヒノキの巨木が現れたのでした。
突如現れたその巨大ヒノキは、両手を高く持ち上げて立ち上がった巨大なクマに見えなくもありません。二股に分れたその根元は大人でも十分くぐり抜けることが出来ます。
 
 
 人の居住区ではクマの出没騒動。一方山の中は、芸術作品のようなブナ林と巨大熊のオブジェと化したヒノキによるおとぎ話のような空間。なんとも不思議な感覚にみまわれた一日でした。
 クマやイノシシの被害が近年問題となっていますが、何とか共生できる方法はないものでしょうか?木材生産だけではなく、野生動物と人間の住み分けを生み出せる林業があってもいいのでは…そんなことを考えた1日でした。
   
 
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夏場作業(令和2年9月)

夏場作業(令和2年9月)
 
 毎日暑い日が続きますがいかがお過ごしでしょうか。梅雨時期は割と涼しく過ごせていたので“この夏意外と涼しいんじゃないか”とも思いましたが、甘い考えをしていた分、余計暑くなった気もします。
自分が子供の頃は天気予報が告げる今日の気温も程度が知れていて気にする事もありませんでした。確認するのはせいぜい晴れるかどうかぐらいで、気温はその時の季節が告げる 暑い、寒い、過ごし易い で良かったように思います。そんな頃は気温が30度になるなんて事は余程の事でしたが、毎年ニュースで“記録更新”や“数十年に1度”と聞かされて間隔がマヒしてしまい、そんな言葉にも飽きてきた今日この頃、気が付いたら40度に迫ろうとしています。
 白山は外の地区よりも幾らか気温が低く、天気予報で南加賀や金沢が30度を超えても白山河内は28度という事も多いので、山の中の木陰で風でもそよいだら“軽井沢とかこんな感じなんじゃないか“的な過ごし易さもあったのですが、最早そんな状況にありません。テレビでは海水の温度まで30何度と出ていて、日本中が火にかけられているような状況ですが、30何度は気温で晒されると熱いけど風呂の温度にしたら冷たくて入ってられないんですよね。風呂にしたら。
 
 暑い時期ですが、この時期は刈払い作業が盛んになる時期でもあります。林道やまだ若い植林地等太陽に照らされる環境が多く、長時間の作業は持ちません。
以前は、気温がまだ低い早朝から作業を開始して、暑くなる前に帰るような対応も取られていましたが、最近は小型扇風機の付いた空調服を着ている人が増えました。
 朝から30度近い日ばかりで早出の効果が受けられない中で、僕が小学生の頃から“誰か発明してくれないか”と願って止まなかった物が遂に登場しました。服と扇風機が付いたこの空調服は、林業者の方からも「1回着たらこれなしではいられない」という期待通りの感想を聞いていたのですが、いざ買おうとしたら商品の品揃えが幅広く、バッテリーの電圧や空調服の品質や機能性等いろいろあり、仕事の合間にカタログを見て選びあぐねている内にもう9月になりました。
その内涼しくなってしまいそうなんですが、袖1つとっても半袖と長袖どっちが良いのか等使い勝手もいろいろ教えてもらっていると意外と決まらず、昨日現場で作業している林業者と話していたら「シーズンが過ぎたら店頭からなくなるから、もうじきなくなるよ」と聞いたので今シーズンは買えないかもしれません。エアコンと一緒みたいです。エアコンならシーズンが終わる前にバーゲンするんですけどね。そんな雰囲気もありません。
 
 
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コナラ再生へ向けて(令和2年7月)

コナラ再生へ向けて(令和2年7月)
 
 白山市出合町の山林は居住地裏にあるスギやコナラ、マツが豊富な里山です。
 
 しかし近年、カシノナガキクイムシによる広葉樹の枯損や、家庭用燃料として利用が低下したことで広葉樹の老朽化が進み、人手が入らなくなった里山や集落周辺へのクマ・イノシシ等の野生獣の出没が増えています。
 このため当組合では、これらを防ぐ目的で、平成24年より広葉樹の若返りを図るための「広葉樹再生事業」に地元と協力しながら取組んでいます。
 
 老朽化が進む広葉樹の根株を残して伐採を行い、その根株からの萌芽更新により広葉樹を若返させる事業を8年間進め、令和元年にはほぼ全域の広葉樹林約48haの再生事業が完了いたしました。
   
 更新伐されたコナラの根株からは萌芽更新による新芽が育ち、コナラの若返りが始まっています。
 
 左の写真は8年前に更新伐を行い、コナラが萌芽更新している写真です。
 
 コナラに負けじと周りの灌木もすくすく育っているため、今年よりコナラ育成を助ける灌木等の下刈り作業を始めました。

 出合町の広葉樹再生事業は今年で9年を迎え、これからも地元と共にコナラ林再生へ向けて取り組んでまいります
   
 
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シイタケ・ナメコ栽培にチャレンジ(令和2年5月)

シイタケ・ナメコ栽培にチャレンジ(令和2年5月)
 
 春先、シイタケ栽培やナメコ栽培について組合員の皆様から質問を受けることがよくありました。
 
 知識や経験が少ないこともあり、栽培の方法が書かれた説明書を見てお答えしたり、職場の先輩方に教えてもらってそれをお伝えしたりしてきていましたが、実感がわきませんでした。
 
 実体験を基に話がしたい。そう思い今年度シイタケ・ナメコの栽培に取り組んでみることにしましたenlightened
収穫できるのは2夏越した秋口からのようなので最初から最後まで説明できるようになるのはまだまだ長そうですが。
 
 山へ持って行って管理しようとすると大変なような気がしたのでまずは気軽にできそうな自宅裏から始めます。
現在は、原木が入荷してきてからの植菌作業と、持ち帰っての組置作業。立てかけられるように単管を組み立てて場所造りまでを体験しました。やってみると、なるほどなと作業工程が理解できましたyes
 
 これからの管理をしっかりして来年シイタケとナメコを収穫して美味しくいただきたいと思います。そして、興味ある方にどんどん教えていけるようにしたいと思います
 
 
 
東側で、照り返しが強くないところに設置しました。
   
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